昔に関わった土地が西野亮廣のおとぎ町になったと聞いて行ってみた話

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 以前に数人でシェアハウスの活動をしていた時に、ある土地も借りてほしいという話が出ていました。その土地は川沿いの土地で近くにはゴルフ場などがある場所でした。洪水が起きた時の為に何も建てずにしておく川の土手の川側のような場所です。あ、アイキャッチ画像の写真はその場所じゃないですよ。近くの全然違う場所です。
 雑木林のような土地でした。その後、土地の持ち主さんが木を切って整地しました。そこはただの空き地というか原っぱ。自然が豊かというのともちょっと違います。駅からも遠く交通の便も悪い。確か月数万円で借りてほしいという話だったと思います。
 正直、私にこの土地を何かするというアイデアはありませんでした。そういうことは素人ですし、収益を上げる使い道など全く浮かびませんでした。
 そうこうしてる間にシェアハウスの活動からも離れ、その土地の話からも完全に離れました。

 その後、人づてにその土地をキングコング西野亮廣さんが借りるらしいと聞きました。しかもそこでイベントをやるとのこと。

西野亮廣独演会をおとぎ町で、みんなでつくろう! キャンプファイヤーのページ

 私が全く使い道が浮かばなかったあの土地でどんな風にイベントをやるのか。気になった私はこっそり遠くからちょっとだけ見てみることにしました(イベントが3500円なので外からじっくり見るのは悪いと思うので)。
 
 そこで私が見たものは。。。。 原っぱでした。
 キャンプファイヤーのページにあったテントとかはなく、本当にただそのままあの土地があっただけでした。おいおい、それで大丈夫かよと私は思ったのですが、そこでライブが行われていて数十人の観客がいる。Twitterで感想を見たところ、みなさんとても喜んでいて大好評といった感じなのです。
 使い道のないと思われた土地をどう生まれ変わらせて使うのか。おとぎ町の出した答えはそのまま使うことでした。観客参加型にしてお客を巻き込む。交通の便の悪ささえもそこまで歩いていくというイベント要素になっているのかもしれません。
  

 今回のおとぎ町で思い出したのは20年前のとんねるず野猿でした。
 野猿というのはとんねるずが自身の番組のスタッフと結成した音楽ユニットです。とんねるず得意の内輪の冗談みたいなユニットがまさかのバカ売れ。シングルやアルバムがベスト10に入り、大きな会場でのライブもソールドアウトとなりました。
 それを受けて、テレビ評論家のナンシー関が放った一言が「みんなつきあいいいな」でした。 

 

ナンシー関の記憶スケッチアカデミー (角川文庫)

ナンシー関の記憶スケッチアカデミー (角川文庫)

 

 

 私が今回おとぎ町で感じたのはこのナンシー関さんの「みんなつきあいいいな」でした。
 とんねるず野猿はその音楽的な価値より内輪のノリによるファンとの一体感によって並のミュージシャン以上の活躍をしました。
 ネット時代のおとぎ町はクラウドファンディングなどの仕掛けなどが加わっていますが、基本的には野猿と同じこのファンとの一体感によって価値をつくりだすという仕掛けだったと思います。そういった仕掛けをナンシー関さんは「みんなつきあいいいな」と評したのでした。

 あの土地をどう変えていくのかではなく、全く別の価値観で成立させたというのはすごいことだと思います。イベントとしての収益は知る由もないですが、好評だったのだから成功なのでしょう。
 ただ、私は世の中が前よりちょっと嫌いになりました。この「みんなつきあいいいな」システムは強者がその強みを活かしてより強者となるシステムでもあるのです。音楽やエンターテイメントそのものの魅力だけでなく、仕掛けによってファンの求心力を魅力に変換していく。ファンを持っていればいるほど、この仕掛けは力がつきます。
 ネットはこの仕掛けをさらにやりやすくするものでしょう。インターネットというのはもちろん弱者が夢を叶える側面もありますが、強者がより強くなる面も大きいのではないかと思います。